大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(ネ)290号 判決

控訴人はさらに、本件石炭売掛代金債権がみぎ二年の時効により消滅しないとしても五年の商事時効により消滅したと主張する。案ずるに、控訴人が配炭公団より本件石炭を買受けた行為は反対の証拠ないかぎり商人である控訴人がその営業のためにしたものと認めるべきであるから控訴人にとつて商行為というべく、したがつて商法第三条第一項により配炭公団の本件石炭売掛代金債権は商行為によつて生じた債権として五年の時効によつて消滅すべきものといわなければならない。とすればみぎ石炭代金債権についてはその最終の取引の代金支払期日たる昭和二十四年九月十五日の翌日から五年の時効期間が進行したものというべきところ、証拠によると被控訴人国は前記のように昭和二十六年三月一日配炭公団から本件売掛代金債権等の譲渡を受けた後同日にさかのぼりみぎ債権について徴収決定をし、同年四月下旬から五月末日までの間に控訴人あて納入告知書を発したことが認められ、みぎ告知書は反証ない限りおそくも同月末日ころ控訴人に到達したことが認められる。乙第二号証、当審証人金子忠治、小川庄作の各証言によつてもみぎ認定をくつがえすことはできず、その他にこれを左右するにたる証拠はない。そうすると本件債権の消滅時効は、会計法第三十二条によつてまずみぎ納入告知によつて中断されたものといわざるを得ない。さらに成立に争ない甲第十号証によると被控訴人は昭和三十一年二月十六日控訴人にたいし書留内容証明郵便をもつて本件売掛代金債務元金ならびに遅延損害金の履行の催告書を発したことが認められ、特段の事情がないかぎりみぎ催告書は数日の後には控訴人に到達したものと認めるべきである。乙第二号証、当審証人金子忠治、小川庄作の各証言によつてもみぎ認定をくつがえることはできずその他みぎ認定を左右するにたる証拠はない。しかして控訴人が昭和三十一年八月九日墨田簡易裁判所に本件支払命令の申立をしたことは記録上あきらかであるから本件売掛代金債権の消滅時効はさらに昭和三十一年二月二十日ころ再度中効したものというべきで、本件債権の消滅時効はいまだ完成していない。

(牧野 谷口 満田)

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